今回発表された「ザ・オールニューLX 700h」は、第4世代モデルで、「どんな道でも快適かつ上質に(Effortless and Refined on Any Road)」という開発コンセプトのもとに製作されたレクサスの代表的なSUVだ。
オフロード性能を兼ね備えているため、悪路で真価を発揮するモデルである一方で、日常走行においても乗員の快適性を最大限に高めた仕様となっている。
ボディサイズは、全長5,092mm、全幅1,988mm、全高1,894mm、ホイールベースは2,849mmと、想像以上に大きなサイズ感だ。
LX 700hでオンロードとオフロードの両方を走行してみた結果、長所と短所が明確に分かれ、特にオフロードで車両の性能を最大限に活かせると感じられた。
オンロードでは最上位グレードのVIPグレードで試乗を行った。「ザ・オールニューLX 700h」のVIPグレードは、オーナードライバーだけでなく後部座席の乗員にも最高級の快適性と高級感を提供する仕様だ。

高速道路と一般道を約120km走行した結果、464馬力を活かした加速性能には魅力を感じたものの、段差や凹凸を乗り越える際に跳ね返りが強く感じられた。
この車は「ボディ・オン・フレーム」構造を採用しており、剛性が高く荷重に強いという利点があるため、オフロード車によく使われるが、乗り心地の面では好みが分かれるところだ。
LX 700h VIPモデルでは、この構造の欠点を補う設計がされているが、ライバルモデルと比べるとやや物足りなさがあった。
一方で、後部座席にはマッサージ機能付きシートやモニターが搭載されており、快適な空間を提供している。スペースも広く、1列目よりも揺れが少ないため、車酔いや不快感は少ないと感じられた。

一方、オフロード走行性能はほぼ完璧と言える仕上がりだった。LX 700hはGA-Fプラットフォームをベースに、車体剛性と軽量化を実現しており、電子制御可変サスペンション(AVS)とアクティブハイトコントロールサスペンション(AHC)により、オン・オフロードの走行性能と快適性を両立している。
「ザ・オールニューLX 700h」は、先進的なドライバーインターフェースを通じて、悪路でも安定した運転が可能になるよう設計されている。

センターディスプレイは、上部に12.3インチのタッチスクリーン、下部に7インチのディスプレイを配置したデュアルディスプレイ方式を採用。
オフロード走行時には、上部画面でマルチテレインモニター機能を、下部画面ではドライブモード設定などのオフロード走行に必要なリアルタイム情報を担当し、画面切り替えによるドライバーの負担を軽減。特に、悪路走行時に発生し得る誤操作を最小限に抑える設計となっている。
試乗当日は大雪が降り、極限状態でのオフロード走行となったが、逆にLX 700hの真価がより発揮される結果となった。

オフロードコースは、急勾配のアップダウンヒル、川を渡る水中走行、岩場のロックモードゾーン、ぬかるみのマッドゾーン、凹凸の激しいモーグルゾーン、25度の傾斜を横断するサイドヒルゾーンなどで構成されていた。
日本国内でこれほどの悪路を走る機会は少ないかもしれないが、700mmの渡河性能、大雪でぬかるんだ道も走破できるマッドモード、急勾配でも安全に降りられる機能などにより、ドライバーはほとんど不安を感じることなく運転できる。

「ザ・オールニューLX 700h」は、VIP、LUXURY、OVERTRAILの3つのグレードで国内展開され、価格はそれぞれ1,945万7,000円、1,679万7,000円、1,658万7,000円となっている。
「ザ・オールニューLX 700h」は、レクサスがSUV市場において技術革新とプレミアムな体験を融合させて送り出した戦略モデルだ。
電動化が加速する中で、オン・オフロードの両方に対応した多様な顧客ニーズを満たすことで、ハイブリッドSUV市場に新たな流れを生み出すか注目されている。